お酒を飲んでいる時だった。最近の近況なんかを話した後、少しの沈黙が流れる。家に帰って寝たらまた朝が来て仕事に行って、そんな生活のことを考えながら、生きるのって辛いよねと口にしていた。私は人と楽しく話をしていても、次の日になると無性に恥ずかしくなってしまう。何かおかしなことを言っていないか、粗相をしていないか、不安に駆られ、自分が不意に言った言葉がフラッシュバックして頭を抱える。
「人と話した後さ、しばらくして、わ！！！ってなるよね。」と笑いながら話していたら、相手の人が手を横に振り、なにかを否定する動作をしている。なんて言ったのか聞き取れず、聞き返す。
「ぼくと話した後はならなくていいですよ」
はっとした。びっくりした。なんて優しい言葉なんだろうと思った。きっとこの人も翌日、わ！！！っとなるんだろう。だからその、わ！！！のつらさが分かるんだろうな。実際には、わ！！！っとならないようにしようと思っても、わ！！！っとなってしまうのだが、そう言ってもらえるだけで救われる気がした。
私だったらなんで答えていただろうか。きっと「わかる！なるよね！つらいよね！」と共感していただろう。共感ではなく、その言葉を選んでくれたことで、言葉が心に染み入った。どうやったらこんな優しい言葉が咄嗟に出てくるんだろう。私もそうなりたい。まずは次その人に会ったときに、ちゃんとありがとうを言おう。
